板金修理は、パテの少なさが肝心!

板金修理は、パテの少なさが肝心!

自動車の板金塗装会社に勤めていた事があります。
熟達した板金工は、まさに芸術家と言えます。これほどの凹みが、なぜ当て金とハンマーだけでそこまで復元するのだろう…と、首をかしげてしまいます。
修理をする上で一番簡単な事は、新品に交換する事です。ただ、新品に換えた場合、塗装がしてあると、
新車の状態の色がついていますから、長年使用していた車であればある程、他の部分と色が違ってしまうデメリットはあります。
中には、新品にしない方が安上がりで済む場合がありますが、この時にその芸術が発揮されるのです。

 

勘違いしていたのは、凹みを直す時、凹んだ部分をハンマーなどで叩いて押し出していくのだと思っていました。
しかしそうではないのです。凹んでいるという事は、周りを含めた周辺の金属部が、伸びたり縮んだりしている部分があるという事。
つまり、凹んでいる部分をなんとかするのではなく、伸び縮みしている部分を見極めて、叩いていくのです。これはまさに芸術です。
しかも、熟達すればするほど、ハンマーだけで最終的な面の形をつくっていきます。

 

そうじゃない場合は、ある程度形を出しておいたら、あとはパテという粘土みたいな物で形を形成します。
しかしこのパテ、真夏の日光や真冬の寒さ、雪、雨あらしなど、自然環境に決して強い物ではありません。
最悪の場合、ヒビが割れてきます。ですから、パテの量を出来るだけ少なくできるかどうかが、熟練しているかどうかの目安なのです。
何事にも「プロ」が居ます。プロほど、自分の腕を自慢せず、黙々と仕事をこなしていくんですよね…。
そういう人物になりたいと憧れます。